教育実践の記
小学校における国語科の授業や学級づくりの記録等
足立 馨
ユーモア感覚の育成」「楽しく自己表現する力の育成」「見方・考え方を深めたり、広げたりする力の育成」といったことをねらい、川柳の創作指導を行った(中・高学年対象)。
〔1時間目〕
まずは、川柳についての説明を行った。
川柳とは、五・七・五の文字数(本当は音数だが)で表したユーモアのある詩のことです。
例えば、次のような作品です。
○おこられて 火山のふん火 さあにげろ
○授業中 気分はうれしい 夏休み
作品を板書したら、「あっわかった。」「何かおもしろそう。」と反応があった。次に、以下の手順で作品を作らせた。
①最近あったことの中から、おかしかったこと、失敗したこと等を思い出してメモする。
②それを、「五・七・五」で表してみる(きっちりと五・七・五にならなくてよい)。「おもしろい作品になるように言葉を工夫してごらん。」とアドバイスした。
次のような作品が生まれた。
○わるいこと おこられたけど またしたい
○かあさんの おこっている顔 大まじん
○空の雲 わたがしみたいで おいしそう
○夜の空 行ってみたいな 星旅行
子どもの作品の中に、次のようなのがあった。
ア、さくらの花 さいてもすぐに さようなら
この作品を板書し、次の作品と比べさせた。
イ、さくらの花 さいてもすぐに ちっていく(教師の作)
どっちがいいと思うか、考えさせた。すると、全員「アの方がいい。」と答えた。
・ 「さようなら」と書いた方が友だちみたいでいい。
・ 「さようなら」の方が、ちょっと悲しい感じが出ていて、書いた人の気持ちがわかる。
表現の仕方で、読む人の受け取り方も違います。おもしろさや自分の思いが伝わるよう、言葉を工夫して下さい。
と最後に言った。
〔2時間目〕
川柳を二~三回家庭学習で創作させた後、「川柳フェスタ」と銘打ったコンクールをした。 「他の子どもの作品を知ることで、いろいろな表現の仕方や見方・考え方を知る。」ことをねらった(使ったのは0.5時間)。
三日間ほど期間を設定し、家庭でコンクールに出す作品を作ってくるよう指示した。全員の作品がそろったら、プリントにして子どもに配った。
次の手順でコンクールを行った。
①教師が一つ一つの作品を読み上げ、子どもには「おもしろい」「言葉を工夫している」と思った作品に◯をつけさせた。◯はいくつでもつけてもよいが、自分の作品にはつけないようにさせた。
②◯をつけたらプリントを回収し、担任が集計をした(ここまでが2時間目)。
〔3時間目〕(10分ほど使った)。
③五つ以上○がついた作品は「うまいで賞」ということで、次の日紹介した。
④一番○が多かった作品は「最高にうまいで賞」ということで最後に発表した。
⑤「うまいで賞」をとった作品については、どこがよかったか、指摘させた。
〔発展指導〕
川柳の創作は、時折テーマを決めて作らせるとよい。運動会シーズンであれば、練習や本番であったことをもとにして作らせたり、2学期が始まったばかりであれば、「夏休みのできごと」をもとに作らせたりする。
数多く作り、お互いに紹介し合うことで、表現力、ユーモア感覚、見方・考え方が育つものと考える。
〔子ども川柳作品〕
○さんかん日 母の方が こうふんする
○夏休み 宿題やらず じごく見る
○冬休み あっと思えば 三学期
○友だちは みんなみんな たからもの
○夏の夜 電子レンジの 中みたい
○かがみ見て 中をのぞけば いい男
○川柳を 何回書かせりゃ 気がすむの
○人生は 楽しく過ごせ 一度だけ
○秋風に ふかれる心 さみしいな
○先生は テストを出して うれしそう
○将来の ゆめも時がたてば 消えていく
○うちの犬 私にだけは かわいくない
○人生は 一度で終わる 時の旅