top of page
教育実践の記
小学校における国語科の授業や学級づくりの記録等
足立 馨
朝の会で次のような話をした。「先生が小学生の時、学級の中に、男子から何度も嫌がらせを受けている女の子がいました。S子さんという人でした。そのS子さんは、とてもおとなしく、人前で笑うこともあまりありませんでした。
席替えがあって、S子さんのとなりになると、『えー!もう最低やー!』『俺まで暗くなるよー!』などど、男子はひどいことを言っていました。また、S子さんのふでばこをわざとさわり、さわったその手で他の男子にタッチし、『S子ののろいやー!』などと言って、嫌がらせをしていました。私もタッチされた時は、『げーっ!』などと言って、他の男子を追いかけていました。心の中では、(S子さんに悪いなあ。)と思っていましたが、他の男子と同じように、S子さんを避けたり、ひどい態度をとっていました。
先日、30年ぶりにS子さんに街中で会いました。もうりっぱなお母さんになっていました。昔の頃の話になった時、『あの頃は、男子がよくいじわるしてとてもいややったんよー。』と笑いながら言いました。今だからS子さんは笑って言えたのかもしれません。しかし、先生の胸はズキンと痛みました。
する人にとっては何気ない嫌がらせでも、される人にとっては何十年も心に残るものなんですね。」
学級の子どもたち(4年生)は黙って聞いていた。
「人に意地悪するんじゃない。」「他の人の気持ちを考えなさい。」と説教をするより、エピソードを語る方が子どもの心に響く気がする。
bottom of page