教育実践の記
小学校における国語科の授業や学級づくりの記録等
足立 馨
子どもが「頭をかかえながら書く」のではなく、「楽しくのびのびと書く」ための作文の授業を紹介する。多くの子どもは、「何を」「どう書いていいか」わからなくてとまどう。そこで、書く前に想を練ることができるようなヒントを与えるのである。
作文の中に、盛り込む言葉を指定し、その言葉をもとにして想像文を書くのである。書く材料のヒントがあるので、興味をもって想像文を書くようになる。書くのが苦手な子どもでも楽しく取り組むことができた。
以下の手順で授業を行った(小学校中・高学年向き)。
○次の1から5までの中で、好きな言葉のグループを一つ選ぼう(板書する)。
1、ある夜 ・ 雪 ・ 足音
2、うちゅう船 ・ 光 ・ 発見
3、一人ぼっち ・ 島 ・ ほら穴
4、さんぽ ・ 紙くず ・ 手紙
5、空 ・ はね ・ ゆめ
○選んだ番号にある三つの言葉を文の中に入れて、想像文を書きます。
○様子が目に見えるように、言葉を工夫しながら書いて下さい。
(作品例) 選んだ番号ー5
1990年のある日、朝起きてみると、背中に変なものがあった。かがみの前にたって見ると何と羽がくっついていた。ぼくは、すぐ外に出て、(空を飛べるかも)と羽をばたつかせた。バッサバッサとみるみる体がうき上がった。およそ、十分ぐらいで空の上に着いた。ながめはとてもよかった。
それから30分間ずっと飛んでいた。車や建物がおもちゃのように見えた。(これがあれば、世界中どこにでもいけるぞ。)と思った。
1時間も飛んでいると、羽がだんだんちっていくのがわかった。(早く家にもどらなければ!)と考えて帰ろうとするうちに、どんどん羽がちっていった。そして、ついに羽が全部なくなってしまった。
「ウワーッ。」
とさけんで目がさめた。(ゆめだったのかー。)とそこはぼくのベッドの上であった。
多くの子どもは作文を苦手とする傾向にある(私の経験から)。「書くことがない。」「どのように書いていいかわからない。」と訴える。上記の実践では、子どもは意欲をもって書くことができた。自分の頭の中で、情景やストーリーをイメージしながら書くことができた。楽しくのびのびと、想像力を駆使して書いていた。